家族に必要なのは訪問看護？訪問介護？違いを知って賢く選ぼう！

はじめに
高齢化社会が進む中で、在宅ケアの需要が増加しています。多くのご家族が在宅でのケアを選択する一方で、訪問看護と訪問介護の違いを理解することは容易ではありません。この記事では、それぞれのサービスの特徴と役割を詳しく解説し、ご家族にとって最適な選択をするためのポイントをご紹介いたします。 

訪問看護とは？

訪問看護は、医療的なケアを必要とする人々に対して提供されるサービスです。 

看護師や理学療法士、作業療法士などの医療専門職が自宅を訪問し、以下のようなサービスを提供します。 

【主なサービス内容】

◍ 健康状態のチェック
定期的な血圧、体温、脈拍の測定や、利用者様の全体的な健康状態の確認を行います。
例えば、糖尿病利用者様の血糖値管理や高血圧利用者様の血圧管理が含まれます。
◍ 医療処置
点滴や注射、カテーテルの管理、褥瘡の処置など、専門的な医療ケアを提供します。
例えば、末期がん利用者様の疼痛管理や、胃瘻の管理などがあります。
◍ リハビリテーション
理学療法士や作業療法士が、運動療法や言語療法を通じて機能回復を支援します。
例えば、脳卒中後のリハビリや、関節リウマチ利用者様の運動療法などが含まれます。
◍ 服薬管理
薬の正しい服用方法の指導や服薬の確認を行います。
利用者様やご家族が薬を適切に管理できるようサポートします。
例えば、数種類の薬を服用している利用者様の服薬管理や、抗凝固薬の管理などがあります。 
◍ 栄養管理
食事のアドバイスや栄養管理を行い、利用者様の健康維持をサポートします。
例えば、嚥下障害の方の食事指導や、低栄養状態の方の栄養サポートなどがあります。

訪問看護の利用事例

◍ 慢性疾患の管理
慢性疾患を持つ高齢者には、訪問看護が非常に有用です。例えば、糖尿病利用者様は、定期的な血糖値のチェックやインスリン注射の管理が必要です。看護師が自宅を訪問することで、これらの医療処置を安全かつ適切に行うことができます。また、高血圧の利用者様には、定期的な血圧測定や生活習慣のアドバイスが提供され、健康状態の安定を図ることができます。
◍ 終末期ケア
末期がんなどの終末期にある利用者様には、痛みの管理や精神的なサポートが必要です。訪問看護は、疼痛管理や薬の調整、精神的なサポートを提供し、利用者様が自宅で安らかに過ごせるよう支援します。ご家族にとっても、医療専門職の支援を受けることで、安心して看護を行うことができます。
◍ リハビリテーション
脳卒中後の利用者様には、機能回復を目指したリハビリテーションが不可欠です。訪問看護の一環として、理学療法士や作業療法士が運動療法や作業療法を提供し、利用者様の生活機能の向上をサポートします。これにより、利用者様は自宅での生活をより自立的に送ることができます。

💡訪問看護のメリット

◍ 医療的な安心感
自宅で医療的なケアを受けられるため、利用者様やご家族にとって大きな安心感があります。
医療専門職による継続的なケアが、利用者様の健康状態を安定させる手助けとなります。
◍ 早期発見・対応
看護師が定期的に訪問することで、体調の変化を早期に発見し、適切な対応が可能です。
例えば、感染症の早期発見や、薬の副作用の監視などがあります。
◍ 専門的なサポート
訪問看護は、医療専門職が提供するため、高度な専門知識と技術を持っています。
これにより、複雑な医療処置や緊急時の対応が可能となります。

訪問介護とは？

訪問介護は日常生活のサポートを目的としたサービスです。

介護福祉士やホームヘルパーが提供し、以下のような支援が含まれます。

【主なサービス内容】

◍ 身体介護
食事、入浴、排泄の介助など、日常生活の基本的な動作を支援します。
例えば、車椅子の移乗や、入浴時の身体洗浄などがあります。
◍ 生活援助
掃除、洗濯、買い物の代行など、生活環境を整えるための支援を行います。
例えば、食材の買い出しや、部屋の掃除などがあります。
◍ 通院の付き添い
医療機関への通院をサポートし、利用者様が安全かつスムーズに通院できるよう支援します。
例えば、病院への付き添いや、診察後の送迎などがあります。

▼訪問介護の利用事例

◍ 日常生活のサポート
独居の高齢者や、ご家族が忙しくて介護が難しい場合に、訪問介護が役立ちます。例えば、一人暮らしの高齢者には、日常生活のサポートとして、食事の準備や掃除、洗濯などを手伝うことができます。これにより、利用者は安全かつ快適に生活を送ることができます。
◍ 身体介護が必要な場合
高齢者や障害者で、食事や入浴、排泄の介助が必要な場合、訪問介護が提供する身体介護サービスが非常に役立ちます。例えば、入浴時の身体洗浄や、トイレの介助など、日常生活の基本的な動作を支援することで、利用者様の自立を促し、生活の質を向上させます。
◍ 通院のサポート
定期的な通院が必要な高齢者や、障害者のために、訪問介護は通院の付き添いサービスを提供します。例えば、医療機関への移動や診察後の送迎をサポートすることで、利用者様が安全かつスムーズに通院できるよう支援します。

💡訪問介護のメリット

◍ 自立支援
日常生活の支援を通じて、利用者様の自立を促し、生活の質を向上させます。
例えば、料理の手伝い・洗濯のサポートを通じて、自立した生活を送れるように支援します。
◍ ご家族の負担軽減
介護の負担を軽減し、ご家族が安心して生活できるようサポートします。
例えば、ご家族が仕事や自分の時間を持つための支援を提供します。
◍ 日常生活の質の向上
訪問介護のサービスにより、日常生活の質が向上します。
例えば、清潔な環境で生活する、規則正しい食生活を送ることができるようになります。

訪問看護と訪問介護の違い

訪問看護と訪問介護の最大の違いは、提供されるサービスの内容と、提供する専門職の種類です。 

【主な違い】

◍ 医療的なケアの有無
訪問看護は医療的なケアを提供しますが、訪問介護は日常生活のサポートに重点を置いています。例えば、訪問看護では褥瘡の処置や点滴管理が行われますが、訪問介護では入浴の介助や食事の提供が中心となります。
◍ 提供者の資格
訪問看護は看護師やリハビリテーション専門職が行い、訪問介護は介護福祉士やホームヘルパーが行います。例えば、訪問看護では看護師が医療的な処置を行いますが、訪問介護では介護福祉士が日常生活の支援を行います。
◍ 目的
訪問看護は主に医療的な問題の管理と改善を目的とし、訪問介護は生活の質の向上と自立支援を目的としています。例えば、訪問看護では病状の安定や改善を目指し、訪問介護では日常生活の円滑な遂行を支援します。

訪問看護と訪問介護の選び方

ご家族にとって最適なサービスを選ぶためには、以下のポイントを考慮しましょう。

1. 必要なケアの内容
医療的なサポートが必要か、日常生活のサポートが中心かを判断します。例えば、医療的な処置が必要な場合は訪問看護、日常生活のサポートが必要な場合は訪問介護を選びます。
2. 医師の意見を聞く
特に医療的なケアが必要な場合は、かかりつけの医師に相談することが重要です。医師の診断に基づいて、適切なケアプランを立てることができます。
3. サービスの併用
訪問看護と訪問介護を併用することで、総合的なサポートを受けることも可能です。例えば、医療的なケアと日常生活のサポートを同時に受けることで、包括的なケアを提供できます。

【具体的な事例紹介】

事例1：慢性疾患を持つ高齢者

慢性疾患を持つ高齢者の場合、訪問看護の利用が適しています

例えば、糖尿病や高血圧などの管理が必要な場合、看護師が定期的に訪問し、血糖値や血圧のチェック、服薬管理を行います。また、必要に応じてリハビリテーションを行い、利用者様の生活の質を向上させます。

事例2：独居の高齢者

一人暮らしの高齢者には訪問介護が役立ちます

日常生活のサポートを通じて、掃除や買い物、食事の準備を手伝うことで、安心して生活できる環境を提供します。また、定期的な見守りサービスを利用することで、安全性を確保しご家族の不安を軽減します。

事例3：リハビリが必要な高齢者

脳卒中後の高齢者には訪問看護のリハビリサービスが有効です

理学療法士や作業療法士が自宅を訪問し、個別のリハビリプランを立て、機能回復を支援します。これにより、利用者様は自宅での生活を続けながら、リハビリを受けることができます。

事例4：認知症を持つ高齢者

認知症を持つ高齢者には、訪問介護と訪問看護の併用が推奨されます

日常生活のサポートを訪問介護が提供し、医療的なケアや認知症の進行管理を訪問看護が行います。例えば、日常の食事や入浴のサポートとともに、薬の管理や認知機能のチェックを行うことで、総合的なケアを提供します。

📓まとめ

訪問看護と訪問介護の違いを理解し、ご家族にとって最適なサービスを選ぶことは、質の高い在宅ケアを実現するために重要になります。医療的なケアが必要な場合は訪問看護を、日常生活のサポートが必要な場合は訪問介護を選び、必要に応じてこれらのサービスを併用することを検討しましょう。

また、かかりつけの医師やケアマネージャーと相談しながら、適切なケアプランを立てることが大切です。ご家族の負担を軽減し、利用者様の生活の質を向上させるために、これらのサービスを賢く活用していきましょう。

さいごに

訪問看護ステーションぽるくでは、利用者様やご家族の意思を尊重し安心してお過ごしいただけるよう、病状やお身体の状態に合わせて定期的にサービスを見直しながら、必要なケアから最期を見守るケアまで支えます。