訪問看護における「介護保険」と「医療保険」の違いとは?
訪問看護を利用する際に、まず知っておきたいのが「介護保険」と「医療保険」の違いです。
この2つの保険は、どちらも訪問看護を受ける際に活用できるものですが、それぞれ適用される条件やサービス内容が異なるため、しっかり理解しておくことが大切になります。
1. 介護保険と医療保険の基本的な特徴
介護保険と医療保険は、それぞれ対象となる人や目的が異なります。
先ずは、それぞれの保険の基本的な特徴を見ていきましょう!
1-1. 介護保険の特徴
介護保険は、主に高齢者の介護を支えるための保険制度です。
利用する方は主に65歳以上ですが、特定の病気にかかっている40歳から64歳の方も対象となります。 介護保険では、日常生活のサポートやリハビリを中心としたサービスが提供されます。 訪問看護は、この介護保険の一部として、在宅での医療や看護を受けられるようにするためのサービスです。 介護保険を利用するには、まず要介護認定を受ける必要があります。地域包括支援センターや主治医、または訪問看護ステーションに相談すると認定の受け方を教えていただけます。認定を受けると、利用できるサービスやひと月にかかる費用の限度額が決まり、その範囲内で訪問看護を利用することができます。訪問看護ステーションでは、スタッフが利用者様の自宅を訪問し、健康チェックや必要なケアを行い利用者様が安心して自宅で生活できるよう支援します。
1-2. 医療保険の特徴
医療保険は、日本に住むすべての人が加入している保険で、病気やケガの治療を受けるためのものです。 訪問看護を利用する際、医療保険は主に病気やケガの治療が必要な場合に適用されます。 例えば、手術後のケアが必要な方や、慢性的な病気で定期的な医療ケアが必要な方が利用します。 医療保険を利用する場合、訪問看護が必要であることを医師が判断し、「訪問看護指示書」という文書を作成します。この指示書に基づいて、訪問看護師が自宅を訪問し、医療的なケアを提供します。 医療保険による訪問看護は、利用者様が必要とする医療ケアを自宅で受けることで、入院することなく、普段の生活を続けながら治療が受けられる点が大きなメリットです。
2. 介護保険と医療保険のカバーする症状・状態の違い
介護保険と医療保険では、それぞれがカバーする症状や状態が異なります。
これらの違いを理解することで、どちらの保険を利用すべきか判断しやすくなります。
2-1. 介護保険でカバーされる症状・状態
介護保険では、主に日常生活を送る上で支援が必要な高齢者を対象にしています。
例えば、加齢により体力や認知機能が低下し、自宅での生活に支援が必要な場合に、介護保険を利用して訪問看護を受けることができます。具体的には、以下のような状態が介護保険でカバーされます。
- 要介護状態: 食事や入浴、排泄などの日常生活動作が困難で、他者の助けが必要な場合
- リハビリが必要な状態: 病気やけがの後遺症で体の機能が低下し、自宅でリハビリを行うことで回復を図る場合
- 介護予防: 体力や認知機能の低下を防ぐため、定期的な運動や生活習慣の改善をサポートする場合
介護保険では、これらの状態に対して訪問看護が提供され、利用者様が自宅で安全かつ快適に過ごせるようサポートします。
2-2. 医療保険でカバーされる症状・状態
医療保険は、主に病気やケガの治療が必要な場合に利用されます。 訪問看護が医療保険でカバーされるのは、以下のような場合です。
- 急性期治療後のケア: 手術後や病気の急性期が過ぎた後、自宅での療養を必要とする場合
- 慢性疾患の管理: 糖尿病や高血圧などの慢性疾患で、定期的な医療管理が必要な場合
- 在宅医療: がんの終末期などで、自宅での医療ケアが必要な場合
医療保険で提供される訪問看護は、医療行為が中心となり病状の観察や管理、必要に応じた医療処置を行います。これにより、通院することが難しい方でも、自宅で適切な医療ケアを受けることが可能です。
3. 対象年齢や条件の違い
訪問看護を利用する際には、介護保険と医療保険の対象年齢や利用条件が異なります。それぞれの保険が適用される条件を理解しておくことが重要です。
3-1. 介護保険の対象年齢と条件
介護保険は、原則として65歳以上の方が対象です。ただし、40歳から64歳の方でも特定の疾患が原因で要介護状態となった場合には介護保険を利用することができます。
【16種類の特定疾病】
- 末期がん
- 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
- 後縦靱帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 初老期における認知症
- 進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病(パーキンソン病関連疾患)
- 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 多系統萎縮症(MSA)
- 糖尿病性神経障害・糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患
- 閉塞性動脈硬化症(ASO)
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
- 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
介護保険を利用するためには、まず要介護認定を受ける必要があります。この認定を受けることで、介護保険のサービスを利用できるようになり、訪問看護もその一環として提供されます。
3-2. 医療保険の対象年齢と条件
医療保険は、年齢に関係なく、病気やケガの治療が必要な方が対象です。
訪問看護を医療保険で利用する場合、医師の判断に基づき「訪問看護指示書」が発行される必要があります。訪問看護指示書には、どのような医療ケアが必要か記載されており、これに基づいて訪問看護が行われます。 医療保険は、すべての国民が加入しているため、年齢や疾患の種類を問わず、必要な医療ケアを受けることができます。例えば、若年層であっても、手術後のケアが必要な場合や、慢性的な病気で定期的な医療管理が必要な場合には、医療保険を利用して訪問看護を受けることができます。
4. 訪問看護の介護保険と医療保険の適用プロセス
訪問看護を利用する際には、介護保険と医療保険のどちらを利用するかによって手続きや工程が異なります。それぞれの保険での訪問看護の適用を理解しておくと、スムーズにサービスを利用できるでしょう。
4-1. 介護保険での訪問看護利用の手続き
💡介護保険で訪問看護を利用する場合
①要介護認定を受ける必要があります
②認定を受けた後、ケアマネジャーと相談してケアプランを作成します
③ケアプランが完成すると、訪問看護ステーションに連絡し訪問看護師が定期的に自宅を訪問
※ケアプランには、どのようなサービスを利用するかが記載されており、訪問看護もその一つとして組み込まれます
介護保険での訪問看護は、日常生活の支援やリハビリが中心となりますが、医療的なケアも必要な場合には、医療保険と併用することもあります。
4-2. 医療保険での訪問看護利用の手続き
💡医療保険で訪問看護を利用する場合
①主治医に相談し、訪問看護が必要であることを確認
②主治医が訪問看護指示書を作成し、訪問看護ステーションに送付
③指示書に基づいて、訪問看護師が利用者様の自宅を訪問し、必要な医療ケアを提供
訪問看護指示書には、具体的なケアの内容や頻度が記載されており、訪問看護師はこれに従ってケアを行います。また、定期的に主治医が指示書を更新し、利用者様の状態に応じた適切なケアが継続されるようにしています。
5. 訪問看護での介護保険と医療保険の自己負担額・料金比較
訪問看護を利用する際の費用は、介護保険と医療保険で異なります。
自己負担額についても、それぞれの保険で違いがありますので事前に確認しましょう!
5-1. 介護保険を利用した際の自己負担額
介護保険を利用する場合、基本的には1割負担ですが、所得に応じて2割や3割負担となる場合もあります。介護保険には利用限度額が設定されており、この限度額を超えるサービスを利用する場合は、超えた分を全額自己負担する必要があります。
限度額内でサービスを利用することで、自己負担額を抑えながら必要なケアを受けることができます。 ケアマネジャーと相談し、どのようなサービスが必要かを決めることで、限度額を有効に活用できます。
5-2. 医療保険を利用した際の自己負担額
医療保険を利用する場合、自己負担額は1割から3割となります。これは、利用者様の年齢や所得によって異なります。また、医療費が高額になる場合には「高額療養費制度」が適用され、自己負担額が軽減されることもあります。この制度を利用することで、経済的な負担を抑えつつ、必要な医療ケアを受けることができます。
6. 訪問看護での介護療保険と医療保険の併用や民間保険の活用
訪問看護を利用する際、医療保険と介護保険を併用することが可能な場合があります。
また、民間の保険を活用して、訪問看護の費用をカバーする方法もあります。
6-1. 医療保険と介護保険の併用について
医療的なケアが必要な場合には、医療保険を利用し、日常生活の支援が必要な場合には介護保険を利用することで、両方の保険を併用することができます。ただし、併用する際には、それぞれのサービスが重複しないように注意が必要です。ケアマネジャーや主治医と相談し、どのサービスがどの保険でカバーされるかを確認することが大切です。
6-2. 民間保険での訪問看護利用の可能性
民間の介護保険や医療保険では、訪問看護の費用をカバーする特約が付いている場合があります。これを利用することで、公的保険ではカバーされない部分の費用を補うことができます。加入している保険の内容を確認し、必要であれば特約を追加することで、経済的な負担を軽減することが可能です。
7. 介護保険と医療保険の訪問看護サービスを選ぶポイント
訪問看護サービスを選ぶ際には、利用者様の状態やニーズに応じて、介護保険と医療保険のどちらを利用するかを決定することが重要です。また、ご家族や医療スタッフとの連携も大切な要素になります。
7-1. 適切な訪問看護サービスの選び方
訪問看護サービスを選ぶ際には、まず利用者様の状態をしっかりと把握し、どのようなケアが必要かを考えることが大切です。医療的なケアが必要であれば医療保険を、生活支援が中心であれば介護保険を利用することで、最適なサービスを受けることができます。
7-2. ご家族や医療スタッフとの連携の重要性
訪問看護を利用する際には、ご家族や医療スタッフとの連携が不可欠です。ご家族が利用者様の状態をしっかりと把握し、訪問看護師やケアマネジャーと情報を共有することで、より適切なケアを受けることができます。また、定期的に主治医と相談し、利用者様の状態に応じたケアプランを見直すことも重要です。ご家族が積極的に関わることで訪問看護の効果を最大限に引き出すことができます。
8. まとめ:訪問看護で医療保険と介護保険を上手く活用する方法
訪問看護を利用する際には、医療保険と介護保険の違いをしっかりと理解し、利用者様のニーズに合わせて適切に活用することが大切です。それぞれの保険がカバーする症状や状態、自己負担額、適用される条件を理解することで、最適なケアを受けることができます。 また、ご家族や医療スタッフ・ケアマネジャー・訪問看護師との連携を密にすることで、利用者様が安心して自宅で療養生活を送ることができるようになります。
訪問看護は、利用者様が自宅で安心して過ごせるように支援する大切なサービスです。医療保険と介護保険を上手に活用し、必要なケアを適切に受けることで、利用者様の生活の質を向上させましょう!
訪問看護ステーションぽるくでは、ご家族・ケアマネジャー・医療スタッフの皆様との情報共有を大切にしております。訪問看護をお願いしたいときや、保険の種類についてお困りのことがありましたら、お気軽に011-598-1314までご相談ください📞
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